2015年 08月 22日
きまぐれ はた・らく新聞
お客様の気持ちを考えるという
お話をさせていただく機会がありました。
職を離れて半年以上
口に出してみたらば
忘れていたことが次々と頭に浮かんできて
しばしの間
体の力が抜けるようでした。
前職では
とあるクリニックで
コンシェルジュとして
患者様のお世話をさせて頂く日々。
自費専門のクリニックのため
御来院いただく患者様は多くても10名ほど。
今思い返せば
職場にいる時もそうでないときも
お休みの時も
ふとした時には
いつも患者様のことを考えていた日々だったなと思います。
例えばニュースを見ていても
あ、このことあの方とお話ししたいな
とか
どこかに旅行に行っても
そういえばここにあの方が以前に行ったと仰っていたな
とか。
私が何か特別なことをしていたとは思いませんが
私が退職するときに頂いた
印象的だった言葉があります。
クリニックでは患者様とお話しするときや
ご予約をおとりするときには
待合室のソファで伺います。
その机には卓上カレンダーが置いてあるのですが
次回の予約をお撮りするときなど
その患者様はいつも表側でなく
裏側のカレンダーを見ていらっしゃいます。
そして机に戻す時も
後ろ側を見えるように置いていらっしゃいました。
何故か分からなかったけれど
心に残った私は
いつもその患者様がいらっしゃるときには
カレンダーを裏に置くようにしていました。
そして
私が退職のごあいさつを申し上げた時に
その方が突然そのカレンダーのお話をされました。
私があのカレンダーを後ろ側しか見ないのはね
父が死んだときのことを思い出してしまうからなの。
表側には大安とか仏滅とか書いてあるでしょう?
その文字を見ると父のお通夜やお葬式の日取りを決めた時のことを
ありありと思いだしてしまうからなの。
あなたは
いつしか私が来るときに
カレンダーを裏にして置いておいてくださったわね
日取りのお話をする時に私に渡してくれる時も
裏側に。
ちゃんとわかっていたし
心の中でいつもありがとうって言っていたわ。
あなたのそういった細やかな心遣いが私はとてもうれしかった。
おしぼりが熱いのが好きとか
コーヒーの好みを知っているとか
そういうことは何とも思わないけれど
私のことをちゃんと見ていてくれているのが
とても安心できて信頼できたの。
そうおっしゃっていただきました。
何かして差し上げたいという気持ちは
大仰なことでなくてもいい
ふとした瞬間の心の動きに繊細でいることが
大切なのかなと
その時に気付かせて頂いたような気がします。
純度100パーセントの夏は
いつの間にか後ろにおいてきてしまいました。
どこを見回しても秋の気配が散らばっています。
よい往く夏をお過ごしください。
yoshiko@HATARAKU
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by HATARAKUKAISHA
| 2015-08-22 12:22
| 「おもてなし」